おいしい食事は、楽しみの一つです。食事は味だけでなく、見た目や、場所、雰囲気、誰と食べるか等、おいしく楽しく食べるためには、重要な要素がたくさんあります。
当施設では、楽に嚥下できるという意味を込め、職員の公募で『らくらく食』と名付けた食事形態を提供しています。見た目は常食とほぼ同じですが、歯が無くても咀嚼でき、食塊形成をサポートします。ミキサーにかけたものを再形成させるのではなく、柔らかい食材とその部位を選び、スチームコンベクションという特殊なオーブンや圧力鍋を使用したり、包丁の入れ方や煮る時間等にも工夫を重ね、形を残しつつ、柔らかい形態を実現しました。『らくらく食』は咀嚼が不良な方、嚥下機能が低下した方など高齢者の嚥下障害に有効で、安全で美味しい食事を提供しています。
細かく刻んだ食事は、見た目を損ねるだけでなく、嚥下が悪い(飲み込みに障害がある)方にとって、逆に誤嚥・窒息のリスクを高めてしまうことが報告されています。そこで当施設では、刻み食を全て廃止し、以下の食事形態を提供しています。
常食:高齢者用ですので若干やわらかめにしています。
らくらく食:舌でつぶして口の中で飲み込みやすい形を作りやすい形態です。圧力鍋で調理します。 素材を選び、調理方法を工夫し、食塊形成をサポートする形態。マヨネーズ、ごま油等を使用 しています。見た目が常食と変わりません。ミキサーにかけたものを再形成したものではありません。増粘剤を使わずに食材をそのまま使用しています。
特らく食:らくらく食より、もう少し柔らかく加工できる食材を使い(特にタンパク質)、舌でつぶして口の中で飲み込みやすい形を作りやすい形態です。
ムース食:常食をミキサーにかけ、少し粒が残った状態の物に水分と増粘剤を入れてまとめたもの。
ペースト食:常食をミキサーにかけ、粒がなくなるまですりつぶし、増粘剤で硬さを調整したもの。
ゼリー食:経口摂取を開始するとき、経口摂取が進まない時、ゼリー・プリンを使い、安全に、さらにはカロリーをコントロールする食事。